血に塗れた記憶の向こうで

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 差し伸べられた   手
 それは世界を変えうる力
 スザクを  変える力  なんて力強い

 あぁ、世界が変わっていく。
 8年前の俺ではない8年間の僕でもないあたらしい枢木スザクが生まれる…命令に流されるのではない自分の意思で考えることができるんだ…今の俺にはそれができるんだ…

「殺すことはしたくない。だから僕は止めるよ? 君がひどいことをしようとしたら何が何でもとめる。それでもいい? それでもここに、黒の騎士団においてくれる?
またパニックを起こすかもしれない。僕は有名みたいだし君に迷惑をかけるかもしれない。それでも君の傍にいてもいい?」

 これは夢だろうか? 今スザクはなんと言った?

「かまわない。いざとなったら俺を止めてくれ。スザク…」

 スザクが   手に入る?

「なら君の傍にいる。ここにいる。君のためじゃない、自分のためだ。だから自分の意思でここに残る。そして君と世界を変える。俺たち二人がそろってできなかったことなんてない。そうだろう?ルルーシュ…」

 微笑みとともにルルーシュの手を握り締めるスザクの手

 夢じゃない…スザクが、俺と ――― 一緒に…

「るっるるーしゅ!」

 スザクのあせったような声がしてスザクはあわてたように俺の頬に手を添えた。
 スザクの手をあふれ出したルルーシュの涙が濡らす

 二人がいればできないことなんてない

 二人がそろっていれば怖いものなんてない

 言葉にできない思いが、溢れる想いとともに涙になって流れ出す。
 スザクは俺を包むように抱きしめた。きつく、きつく、もう引き離されることのないように…

 明日はきっと眼、腫れてるね…そういいながら微笑みあった。

 


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