血に塗れた記憶の向こうで

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 うつむいたままのスザクは震えを止めようとするかのように握り締めた手に力をこめている。それはあの時とよく似た光景で…
 怯えている? いや恐れているのか? スザクは、何に?
 俺?

 あぁ…そうか、スザクが恐れているのは

 ―――――拒絶

「馬鹿だな…スザク本当に馬鹿だ。」
 声に宿るのは溢れるばかりのスザクへの想い


 予想していたよりも優しい声音にスザクはパッと顔を上げた。
 目に飛び込んできたのはルルーシュの優しい顔…

 8年前や1年前はいつも当たり前のように享受してきた。
 失ってそれがどれだけ大切だったかを思い知った。
 俺も僕も大好きだったルルーシュの笑顔…

「俺たち、友達だろう?」
 1年前と同じセリフ
「8年前からね…」

 とまっていたはずの涙腺が緩みだす。

 あの時と同じ言葉なのにあの時とはこんなにも違う。
 それがどんなに嬉しいか…
 でも、
 犯した罪は消えてはくれない…

「ルルーシュ、僕はしてはいけないことを君にしてしまった。
君を皇帝の前に引きずり出し、君とナナリーを引き離した…」

 ナナリーの名を言った瞬間にルルーシュの瞳が翳った。それを見て落ち着き始めたスザクの心は再びざわめきだす。

「ルルーシュ、俺は知ってしまった、思い出してしまった…過去を、真実を…

 かえりたくない…
 政庁に、ブリタニアに、君の敵に   戻りたくない! っでも、でもっ僕の、僕のせいでナナリーは今もっ一人でブリタニアにいる…政庁にいる。
 ナナリーの所に戻らなくちゃ…君が、君たちがもう一度一緒にいられるように…
 僕は戻らなくちゃ

 ありがとう。ありがとうルルーシュ…この3日間ここに置いてくれて、傍にいてくれて
 ありがとう、嬉しかった。本当にありがとう。

 また僕は君の敵だけど忘れないで、ナナリーは僕が守る。もう一度君たちが一緒に過ごせるようになるまで僕が守る。

  あいしてる

 ルルーシュのこと愛してる。大好き! だから
 忘れないで。」

 そう言い終えた瞬間耐え切れなくなった涙が溢れ、頬を滑り落ちた。

 ・・・スザクの涙を見た瞬間頭の中で何かが音を立ててぶちぎれた。

 


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