ルルーシュが突然の俺の豹変に戸惑っているのがわかる。ここ数日ずっと不安定で感情のコントロールができなくなっているという自覚はあった。でも、
とめられない
「ルルーシュ! ギアスだったんだ! 何もかもギアスだった! 偽者だった! 何もなかった、俺には何もなかった!! 俺は皇帝陛下を知ってた。俺は父さんを殺した! 俺は父さんを殺して僕が生まれた。けど違う! 違った! 僕は父さんを殺してなかった! 違う! 違ったんだ!! 僕が生まれたのは、僕が生まれたのは…僕…なんで? どうして? あれは、父さん! たすけて、助けて! っるるーしゅ、ルルーシュ! ごめん、ごめん! ごめん、ルルーシュ!」
ルルーシュの腕がなだめるように背に回される。俺は離れないように、離されないように、強く、強く、強く抱きしめた。
支えきれなくなった細いからだが重力にしたがってベッドに沈む。
それでも俺は強く彼を抱きしめた。
もう二度と
引き離されないように
「スザク! 落ち着け! 大丈夫。大丈夫だから。俺はここにいる。俺は ここにいる。だから力 緩めろ! くっ苦しいから! スザク!」
ルルーシュの声が俺の意識を引き戻した。彼だけだ。いつでも彼だけが俺をこの世界につなぎとめてくれる。
「ルルーシュ…っごめん…」
ゆっくりと身体の力を抜く。そのまま二人の身体は力をなくしベッドに沈み込んだ。
「落ち着け、大丈夫だ。スザク 話を整理しよう。 お前はナナリーの所に行くために廊下を歩いていた。そこで後ろから声をかけられて振り向いたらV.V.がいた。それで間違いないか?」
ルルーシュはゆっくりと言葉をつないだ。それにしてもよくあんな支離滅裂な言葉からそんなことを聞き取れるな、と関係のないところで感心してしまう。
とりあえずそれであっているので俺はうなずくことで是と示した。
「そうしたら青い光に包まれた。そこまではわかった。問題はそのあとだ。嘘、偽者とはどういうことだ? それにギアスだと? なぜここでギアスが出てくるんだ?」
「そのままの意味だよ。本当にそのままだ。思い出したんだ、8年前のこと、あの日君と最後にあったあのあと何があったかを…」
「最後にあった日? あの夕焼けの?」
今も思い出せる。あの時の 恐怖
赤く大地を染め上げる夕日、それは大地が燃えているようで怖かった。
逆光でスザクの顔が見えないことが怖かった。
もう二度と会えないかもしれない
それが一番怖かった…
「そう。俺はあのあと言っていたように総督府へ行った。そこで …会ったんだ。僕は初めてじゃなかった、あの時にあっていたんだ!!」
「だれ に だ?」
その質問にスザクは泣きそうに顔をゆがめて答えた。
「君の父親 ブリタニア皇帝 シャルル・ジ・ブリタニア」
「僕は総督府で陛下に会った。陛下の下に引きずり出された。そして…
陛下の瞳が深紅に染まるのを見たんだ。ルルーシュ…」
それの意味するところ…つまり、
「お前はギアスをかけられたのか? 8年前 あの男に?」
沈黙は是
俯いたままスザクの表情は見えない
「お前…何を言われた あの男に何を言われた!? どんなギアスを受けたんだ!?」
落とされたのは爆弾
「父さんが死んだ日の記憶の改竄、
そしてブリタニアに従うこと」