血に塗れた記憶の向こうで

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02




何を言われたか本気で聞き間違えたんじゃないかと思った。

スザクが黒の騎士団に丸腰で来ただと!? なぜ場所がわかった? その前に丸腰だと!? 何を考えてるんだ!? しかも扇の報告では様子がおかしいらしい。黒の騎士団に一切抵抗せずに捕まっただと!? ありえん! たとえ丸腰でもスザクならどうとでもなるはずだ…

しかし、実際、スザクは身柄を拘束されても無反応でただゼロを呼んでいるらしい。
馬鹿な、スザクはゼロが俺だと知らないはずだ。まだはっきりとした証拠をつかませたりなどしていない。

ならばなぜ俺に、いや違う、ゼロに会いたがるんだ!?

そう思考しながらもルルーシュの手は止まらないあっという間に出かける準備を済ませた。

「ロロ、俺は黒の騎士団のほうに行ってくる。」
「じゃぁ僕も!!」とそういって腰を浮かせたロロに片手を挙げてとどめた。
「いやここに残ってくれ。」
「兄さん!!」ロロが何を言っているんだというような瞳でルルーシュを見た。
「枢木卿が来たんでしょう? まさかゼロの正体に気づいたのかもしれない!! 僕も行くよ! きっと役に立てるから!だからっ」
そういって何が何でもついていこうとするロロをルルーシュ押しとどめた。
「すまないがここにいてくれ。もしかしたらこちらにも何かあるかもしれない。そのときに二人ともいなかったらまずい。それにスザクが呼んでるのは俺じゃないゼロだ。もし気づいてなかったのにお前が来たらこっちから教えてやることになる。」

そういえばロロは付いて行くことができない。兄さんの不利益になるなんて事はできない。決して納得したわけではないという顔だったが、ロロはつかんでいたルルーシュの腕を離し一歩下がった。

「わかった。いってらっしゃい。」
「あぁ。後は頼む。」

そうしてルルーシュは雨の中を外へと飛び出していった。

アジトにつくころにはルルーシュは傘なんてまったく無意味だったと思わざるを得ないくらいにびしょぬれになっていた。
しかし、雨にぬれた髪をぬぐうこともせず急いでゼロに着替え仮面を取り出した。

「来たか。ずいぶん早かったな、最高記録じゃないか?」

入ってきたのは黄緑色の髪を持つ自分の共犯者だった。

「ノックぐらいしろ。着替えていたらどうするつもりだ? しかも仮面をつけていないのだぞ、見られたらどうしてくれる。」
眉をひそめてそういったがきっとこの魔女にそんなもの通用しないことはここ2年で充分理解した。

「はんっ! 童貞坊やが、何を色づいている? 今更お前の裸を見たところで何も感じはせん。それにここはゼロの私室だぞ? 誰がほかに近づくって言うんだ。」

案の定全くかわいくもない言葉が返される。いつもならこの軽口に付き合うのだが、今は…

「スザクはどうしている?」
「どうもこうも全くもってこちらに反応しない。カレンや神楽耶が何を言ってもまったく反応なし、玉城に殴られても反応なしだ。ただひたすらにゼロを呼んでいる。行くのか?」

魔女は仮面をかぶるルルーシュに目を眇めた。

「行くしかないだろう。枢木スザクはナイトオブラウンズだ。使える情報を持っているかもしれないし利用方法もある。なんせブリタニアの白き死神だからな」
「それになによりあの男の様子が気になるから、だろう?」

そうやって面白そうに笑う魔女を残してゼロは部屋を出た。

「…別にそんなつもりは、私は望みをかなえたい。それだけだよ マリアンヌ」

C.C.のつぶやく声は誰に届くこともなくからっぽの部屋に消えていった。

 


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