たどり着いた教会区。軍の立ち入ることのできぬ場所。
教会に着いてしばらくが経った。
不良司祭のギルベルトや、良い人だけど怒るとこわいローデリヒさん、お世話をしてくれるエリザベータさんたち。
みんなとても優しくて暖かくて、初めて軍の外の世界を知った俺はとても戸惑ったけど何もかもが新鮮で毎日が楽しかった。
それでも思い出すのはお前のことばかりだった。
あいつは無関係。そう装ってきたつもりだったが、ひどいことされてないどろうか、ちゃんと卒業できたのだろうか。
そのときのオレは何も知らなかった。お前が今どんな状況に居るのか、
何も知らなかった。
教会にはたくさんの人々が出入りする。
夕暮れ時、祈りをささげ終えた人々が自宅への帰路につく中ふらふらした足取りで協会に向かって歩いてくる人物。
「アーサー、良かった。生きてたんだな…」
夕日に照らされてそういうお前の顔を見た瞬間体動いた。
「フランシス!!」
飛び掛るような勢いのまま抱きつく。
「アーサ…」
「良かった!お前と話したいことがたくさんあるんだ!!」
「フランシス…?」
崩れ落ちたフランシスをオレは慌てて支えた。
倒れてしまったフランシスを抱えオレは慌てて協会内部に戻った。たまたま通りかかったギルベルトに助けをもとめ、フランシスはこの前までオレがいた医務室に移された。
「フランシス…」
心配で心配でフランシスの側で泣きそうになってたオレにフランシスは「大丈夫。ちょっと疲れただけだから…」と言ってくれた。
本当は聞かなきゃいけなかった。
「倒れたのは本当にそれだけが理由か?」
「あの後お前はどうしてた?」
「お前はなぜオレの居場所が分かった?」
聞かなければならないころはたくさんあった。
でも、
オレは聞かなかった。聞いてしまえば何もかもが終わってしまうようで…
二人で協会を散策したりして穏やかに過ごした。
授業もない、争いもない、平和な日々。
時々何かに耐えるような表情をするお前を不審に思いながらも俺は何も言わなかった。
言わなかったんだ。
神様、結局オレは自分のことしか考えてなかった。あいつと再会出来たことが嬉しくて、すべてのことに蓋をした。
これはその罰だというのでしょうか?