「これより2019年度、アッシュフォード学園卒業証書授与式を行います。
一同 起立」
超合衆国と神聖ブリタニア帝国との戦争が、悪逆皇帝 ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアの死というだれもが予想し得なかった結末を迎えてから半月がたった。
あの日から世界は破壊ではなく創造、復興への道を歩み始めた。
超合衆国は協力体制を整え、各国が力を合わせて破壊され、傷ついた地域の復興作業を進めている。
さらに、民主主義の名の下に復興の手は一番戦場となった日本同様、一番甚大な被害を出したブリタニアにも差し伸べられた。今日もきっと新しく即位したばかりの幼い皇帝陛下が元帝国宰相の兄皇子を伴い世界の復興作業に走り回っているはずだ…あぁ、本当に走り回ってるわけじゃないぜ? 比喩だよ、比 喩
ともかく世界は復興に向けて走り出している。それは建物や大地だけではない。
エリア開放により本国に戻ったブリタニア人も多くいたが、それを上回る多くの人々が今までナンバーズと称してきた人々と手を取り合うために動き出していた。
支配するもののとされるものだった両者の関係はお互いにぎこちなさと憎しみや悲しみをはらんでいたが、少しずつ改善されてはいる。まぁ心の中で双方納得していないこともあるのだろうが、それを表面に出さずしまいこむだけの心のゆとりが少しずつ人々の心に生まれていけばいいと思う。
特にブリタニア人はいわば敗戦国側の人間である。それが理解できている人間は暴動などというものを起こさない。もし、ブリタニアが超合衆国に参加していなかったら、民主主義という話し合いのテーブルに着くことを許されていなければ今頃どうなっていたことか。今までブリタニアが敗戦国、植民地国にしてきた過去を思えば破格の待遇なのだと前に、会長が夜のニュースで話していた。
これも全部あいつらの計画のうちか?
リヴァルは一人呟いた。時がたてば経つほど、世間が落ち着きを取り戻せば取り戻すほど前皇の政策が活きていった。どこから計画のうちだったのか…
ともかく、ここアッシュフォード学園も元の姿や落ち着きを取り戻そうとしていた。
東京で放たれたフレイヤ弾頭が奪い去っていったクラブハウスの半分ももうすっかり元に戻っている。また、最初の2ヶ月ほどは、なくなった生徒やその家族に対して学園全体で喪に服し、陰鬱な雰囲気が漂っていたが、それも今ではだいぶ薄れてきた。
まっ、俺のおかげかな〜
リヴァルはそれこそ生徒会長として学園をあの明るかった日々を取り戻すために頑張った。自画自賛してもまだ足りないぐらいに思っている。
「あっれぇ〜? 何だよ一番乗りか〜」
授与式が終わり、クラスメイトとの別れを惜しみながらもここ、クラブハウスにやってきたリヴァルは誰もいない生徒会室でしゃーねーなー 絶対カレンが先に来てると思ったのに…といいながら頭をかいた。
まぁ来てないならしょうがないか と気を持ち直し、リヴァルはよく皆で書類を抱えて座ったテーブルをそっと撫でた。
最後に皆がここでそろったのはいつだったのだろうか…?
そう考えた瞬間、明るめの茶色いロングヘアーが視界の隅で翻った気がした。
NEXT
ブラウザを閉じてお戻りください。