「ふぅ?」
…
「ふらんしゅ?」
時刻は午後4時を過ぎたころ。イギリスがふと目覚めたときリビングには誰もいなかった。
「ふらんしゅ?」
イギリスの声が誰もいない部屋に反響する。
いつの間にか掛けられていたタオルケットをぎゅっと握る。
イギリスは立ち上がってあたりを見回すが誰もいない。
「ふ、ふらんしゅ…?」
語尾が震える。イギリスは今日のお昼ごろのことを必死になって思い出そうとした。
そう、今日はたしか、
「ふらんすのごはんたべて、おひさまがぽかぽかで、ねむくなって、…」
イギリスの耳が震える。
「さっきまでふらんすいたのに、っふ、うぇ、」
イギリスの緑の瞳がみるみるうちに潤む。
「ぅぇ、っふ、ふらん、っふ、ふぅぇええええ〜」
イギリスの耳がピクンと震えるともにイギリスの涙が決壊した。
「ふぅぇええええ!ふ、ふら、ふらんしゅ、ど、どこ?うぇ、うぇ〜」
キッチンに走った。
誰もいない。
がんばって二階にのぼった。
フランスのおへやにもイギリスのお部屋にも誰もいない。
イギリスはぐすぐすになきながらタオルケットを引きずって屋敷をあるいた。
ひっく、ひっく、と涙の合間に息を吸うたびイギリスの耳がピクン、ピクンと跳ねる。
「ぅぁ!」
どすん!という音とともにイギリスは階段の最後の段を踏み外した。
「いっ!っ、ぅえええええ!!ふらんす〜!!」
痛くて、寂しくて、一人ぼっちが怖くてイギリスは泣いた。
その時、
カタン、という音が玄関から聞こえた。
イギリスの耳はピンと立ってその音を聞きつける。
カチャリとカギを開ける音にイギリスは玄関に向けて走り出した。
イギリスがぐっすり寝ていたのでフランスはその間に夕飯の買い物に出かけた。
たまにはイギリスを連れて行ってやりたいがあの耳では悪目立ちが過ぎるためなかなか連れ出せないでいるのが申し訳ない。
フランスは荷物を抱えて音を鳴らさないようにそっと鍵をあけた。
イギリスはまだ寝ているはずだ。
そう思って扉を開けると、ばん!って音を立てて涙でぐしゃぐしゃに顔をぬらしたイギリスが飛び込んでくる。
「イングランド?あれ?起きちゃったんだ。」
そういって飛び込んだ勢いのまま飛びついてきたイギリスを片手で抱えてやる。
ぎゅっと首にしがみついて肩を震わせるイギリスをあやすようにぽんぽんと背中を叩いてやる。
「ごめんね、イングランド。お買い物に行ってたんだ。起きたら誰もいなくてびっくりした?」
そう聞いてやるとイギリスは耳を震わせてよりいっそう強くしがみつく。
「ふ、ふらんしゅ、ど、どこにもい、ない、から、さ、さがしたのに、どこにもっ!」
そう言ってぎゅぅっとしがみつくイギリスをフランスもぎゅうっと抱きしめる。
「ごめんね。一人にして。もう一人にしないから、ね?泣き止んでよ。」
ちゅっとフランスは音を立てて目じりにたまった涙を吸ってやる。
それにびっくりしたのかいぎりすがきょとんとした。それから真っ赤になって耳で顔を隠してしまった。
それでも耳の震えと真っ赤な頬からイギリスが照れてるのがわかる。
フランスは「大好きだよ」とふわふわの耳にキスを落としイギリスを抱えたままリビングに向かった。
このときフランスは必ず外に出かけるための帽子を買ってやろうと決意したのだ。
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実はイギリスはただ小さくなっただけではなくうさリスになってました!
って、説明しなければ分からないとか、本当に申し訳ありません。
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