「ふらん……いひゃいぃ……」
久しぶりにブリテン島に遊びに来てみれば予想外に。目の前ではそんなに年は離れていない筈なのに、どうしてだか遥かに小さく見える少年がぐすぐすと泣きじゃくっていた。
原因は腹痛。らしい。
プライドが海の底よりも果てしない彼が泣いて頼るだなんて滅多にないことで、相当に痛いのだと容易に想像出来る。
はてさて、腹でも出して寝ていたのか変な物でも食べたのか。
どちらにしろさすがにからかう気にはならなくて、うずくまっている子供を膝に乗せて羽織っていたマントを掛けてやる。
「じゃぁ、ぽんぽん撫で撫でしましょうねぇ」
そして偶に自分が腹痛を起こした時にしてもらうように服の上から腹をゆっくり撫でてやれば安心したのか、少しだけ表情がほっと緩んだ。
良かったと思いながら、あぁそうだと思いつく。蜂蜜入りのホットミルク、作ってきたげよう。
そうとなれば善は急げとぴたりと手を止め膝の上から降ろし、初めて来た時よりも大分設備の整ったキッチンへ向かおうと立ち上がった時だった。
「アーサー……?」
くんっと引かれる感覚に視線を向ければズボンを握るふにふにした小さな手。
どうしたのかと視線だけで問うてみれば、大きなペリドットがうるりと潤んだ。
「どこ行くんだよ……」
「どこって……ホットミルク作りに」
アーサー好きでしょ?ほら、お腹温めなきゃいけないし。
そう言っても手はちっとも緩んでくれなくて、どうしたもんかと頬を掻く。そうすれば今度はぴたりと脚に抱きつかれて、更に身動きがとれなくなっていた。
ぎゅうぎゅうとひっついて、暖かい。
「そんなの要らないから……そばいろよ、ばかぁ……」
真っ赤な顔で、そんな事必死に言われたら……っ!
俺の転落人生
、ここからでした
(酒なんていいから傍にいやがれ馬鹿ふらんしすぅー)
(あれ?何このデジャヴ)
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